高種族値鋼タイプの比較

<前置き> 

 600族・準伝説クラスのステータスを持つ鋼タイプは合計で5体存在します。

ギルガルド

ヒードラン

メタグロス

レジスチル

コバルオン

 この下は一気にジバコイルまで落ちます。

 このうちコバルオンは、格闘タイプをもち、鋼タイプとしてはフェアリー、飛行タイプが等倍で通ることから役割対象が大きく変わるので除外して、他4体について比較していきます。

 

<実質種族値による比較>

 実質種族値というのは、技威力やステータスの無駄等の補正を考慮した合計種族値のことです。(詳しくは以下↓)

https://tofu9999.hatenablog.com/entry/2023/05/27/145533

 

ポケモン名-実質種族値-使用技

ギルガルド-478(盾)-シャドーボール

                  -289(剣)-シャドーボール

ヒードラン-492-熱風

     -405-ラスターカノン

メタグロス-407-アイアンヘッド

レジスチル-426-アイアンヘッド

 

 単体打点で見ると、一位は当たり前ですがギルガルド、2位は意外にもレジスチルという結果になりました。レジスチルはsが低いので、ステータスの強度が高くなりやすいです。

 ガルドは剣になると一気に貧弱なステータスになりますね。いかに盾で受けて剣で攻撃という立ち回りに忠実になれるかが、よっぽど重要ということです。

 ヒードランは単体打点の数値は最下位(グロスとほぼ差はありませんが)ですが、熱風という強力な手を持っているので、実際のダメージレースでは一歩抜きん出ることができそうです。

 レジスチルは数値の上では高いですが、BDが突出しているので、実際に受けるダメージとしてはそこまで大差はなさそうです(総合耐久はずば抜けています)また、メタグロスにも言えることですが、物理型なので威嚇が辛いと思いきや、クリアボディなので威嚇無効です。ニンフィアに対するダメージを考えると、役割遂行だけなら彼らの方が優秀であると言えるでしょう。

 

<それぞれの個性>

ギルガルド

 長所

 ①ゴーストタイプであること

 →攻撃タイプとして、等倍範囲が広いです。鋼タイプの耐性で受け、ゴーストタイプで半減させずに攻撃できるというのは、彼の明確な強みです。弱点の格闘タイプを無効にできるのも強力です。

 ②数値が高い

 盾で受けて剣で攻撃、という動きに忠実である限り、彼は他3体とは比較にならない数値で役割対象を確実に突破することができます。

 ③ワイドガードを使える

 ニンフィアハイパーボイスと、弱点の地震ワイドガードで防げるのは彼だけです。

 

 短所

 ①剣フォルムの数値が低い

 剣フォルムの数値はあまりにも低いです。289というのは、ファイアロー(270)とほとんど大差ない数字です。エルフーン(292)より低いです。

 そして、盾フォルムに戻るにはキングシールドを選択する必要があります。キングシールドを打つターンは当たり前ですが攻撃できないので、ターンあたりの火力で大幅な不利を被ります。それで数的不利をとっていては、せっかくの高種族値が活かせません。キングシールドを無理なく選択できる理由、あるいは、剣フォルムで行動できる理由を構築単位で用意することが重要になりそうです。

 

ヒードラン

 長所

 ①ほのおタイプであること

 鋼タイプの体制で受けて、熱風やオーバーヒートなど威力の高い技が多い炎タイプで攻撃できるというのは、彼の明確な強みです。また、鋼タイプでありながら鋼タイプに強いという点も、ほのおタイプを持つメリットと言えます。

 耐性も優秀です。フェアリーを1/4で受けられるので、役割対象から崩されることはほとんどありませんし、苦手なはずの炎タイプも無効にでき、処理する手段が著しく限られます。

 ②挑発、吠える

 唯一挑発と吠えるを覚えます。これらはどちらも相手の搦手を止める技であり、役割遂行の確実性に寄与します。

 

 短所

 ①炎タイプであること

 炎タイプであることは、いいことばかりではありません。例えば、地面タイプが4倍なので、地震に巻き込まれると簡単に倒されてしまいます。水技が弱点なのも痛いです。これらはどちらも攻撃技のタイプとして一般的であるからです。他3体以上に、弱点を突かれたときの脆さが際立っていると言えます。

 

メタグロス

 長所

 ①エスパータイプであること

 ほとんどゴーストタイプの劣化ですが、絶対的な性能として高いことは自明でしょう。格闘タイプが等倍で通るのは大きな差であるように見えますが、威嚇猫フェイント等で役割過多になりがちな格闘タイプが、等倍の物理技で落とせないグロスを触る手に良い手は多くなさそうなので、そもそも殴られることが少なく、差は出にくいです。

 ②両壁を使える

 リフレクターと光の壁を使えるのは彼だけです。また、先発に出して壁を張る場合、受けやすい威嚇が無効であるという点でもシナジーがあります。

 ③鋼タイプの先制技を使える

 バレットパンチを使えるのは彼だけです。ギルガルドも影打ちを覚えますが、役割対象のフェアリーに弱点で通るという点で、大きな差があります。また、両壁を採用する場合、それで手が埋まりがちなメタグロスの行動回数を底上げし、役割遂行に支障をきたしづらいという点でも、シナジーがあります。また、ギルガルドと違って先制しても耐久力を損ねません。

 

 短所

 ①特殊耐久が低い

 メタグロスのH-Dは80-90と、他3体に比べて大きく劣っています。また、弱点のうち炎、悪、ゴーストタイプは特殊技が多く、弱点を突かれた時の脆さはヒードランほどではないにしろ顕著で、これは彼の明確な短所です。

 ②Sが低い

 両壁を使えることがアイデンティティの一つであるわけですが、鈍足でかつDが脆いポケモンである彼はSに振る余裕を確保しづらく、ほとんどの場合後攻で壁を貼ることになり、壁ターンを1つ無駄にするという点で効率が悪いです。

 

レジスチル

 長所

 ①電磁波を使える

 電磁波を使えるのは彼だけです。鋼タイプでニンフィアに鋼技を打った結果、炎タイプや水タイプに受けられる、という場面は少なくありませんが、彼は電磁波という、高い強度で一貫する技を持っています。また、電磁波+アイアンヘッドによるまひるみで、ローリスクハイリターンな運ゲーを自然な流れで、一方的に仕掛けることができ、これは明確な長所といえます。

 ②弱点を突かれにくい

 他3体は鋼タイプ以外にタイプを持つため、別の方向から弱点を突かれるという側面を持ちましたが、彼は鋼単タイプなので、弱点を突かれる機会が少なくなりやすいです。

 具体的には、以下のような性質が考えられます。

 A.地面タイプで最もポピュラーな地震はダブルダメージで通るので致命傷になりにくい

 B.猫騙し、威嚇、フェイントなど役割過多になりがちな格闘タイプは、レジスチルに積極的に触りに行く手を持ちづらい

 C.ほのおタイプは普通に通るが、それはヒードラン以外の2体も同じこと

 そもそも火力が低いので放置されやすく、総合耐久もずば抜けていることから、他3体に比べて、倒されにくいという特徴があり、これは明確な長所と言えます。

 

 短所

 ①火力が低い

 トリプルバトルにおいて、これは致命的な弱点です。レジスチルに限らず、耐久寄りのポケモンに普遍的に言えることですが、ターンあたりの火力が低いことから数的不利を取りやすく、最終的に集中されて負ける、という試合展開になるとどうしても足手纏いになります。構築単位で取り組むべき大きな問題であり、これを解決することを強制されるというのは、あまりにも大きな短所です。

 ②電磁波以外に強い手を持たない

 火力が低いこととも通じますが、彼は電磁波以外に強力な攻め手をほとんど持ちません。そして、電磁波は地面タイプや電気タイプ、あるいは挑発で一方的に封殺されます。これもまた構築単位で解決しないといけない大きな欠点であり、構築に与える負担が大きいという点が、彼の最大の短所であると言えるでしょう。

 

<それぞれの運用案>

ギルガルド

 後発に置いておき、役割対象に後投げor死に出しからキングシールドで盾フォルムを維持しつつ詰める、という立ち回りが強力そうです。

 先発で出した場合、盾フォルムを維持するために打ったキングシールドで行動回数に不利をとる、というリスクを常に背負うことになります。

 その点後発なら、ラストのタイマンでキングシールドは安定択になりやすく、より強力であるといえます。また、後投げした際も、盾フォルムで攻撃を2回受けた後に剣フォルムで攻撃できるので、自然な流れでギルガルドの体力というリソースを効率よく使うことができます。

 他には、襷を持たせて先発で出し、剣フォルムの脆弱性を無視してアドバンテージを稼ぐ、という立ち回りも強力そうです。

 

ヒードラン

 後発に置いておき、役割対象に後投げするか、死に出しから展開して熱風で相手を一掃しつつ耐性で詰める、という立ち回りが強力そうです。

 弱点を突かれた時の脆さが欠点である彼は、先発に出すと不利対面を取った際のケアを高い強度で用意する必要があり、構築に与える負担が大きくなってしまいます。

 その点後発なら、繰り出す相手を選んで確実に有利対面が作れますし、耐性による精度の高い詰めという彼の強みが活かされやすいです。また、熱風という強力な攻め手も、相手のリソースが十分である先発より、互いに削れた後発の方が有効に通りやすいです。

 

メタグロス

 先発、あるいは後発から出して両壁を貼りつつ堅実にダメージを稼ぐ、という立ち回りが強力そうです。

 両壁がアイデンティティの1つである彼は、当然それを採用したいわけですが、先発に出す場合と後発に出す場合で、少し挙動が変わることが考えられます。

 先発に出す場合には、以下の長所があります。

 ①威嚇が無効である

 先発で壁を張った時に、高い頻度で飛んでくる威嚇を無効にでき、耐久数値で一方的な有利を取ることができます

 ②弱点保険が発動しやすい

 先発で出した場合、対面するポケモンの数が後発より多いので、弱点をついてくるポケモンとより対面する機会が多くなり、壁と相性の良い弱点保険を発動する機会に多く恵まれます。

 ただし、①弱点を突かれた時の脆さと、②後攻壁の効率が悪い、という短所ももろに出るので、構築単位で解決する必要があります。

 後発から出しても長所短所が逆転するだけで、本質的な問題は変わらないので、壁メタグロスを採用する場合は、構築に与える負担の重さを受け入れる必要がありそうです。

 ただし、壁というアイデンティティを捨て、後発からトリルエースとして展開する場合は以上の問題を全て解決できるので、そういった立ち回りも十分に考えることができそうです。

 

レジスチル

 先発から展開し、相手の攻撃を耐えながら電磁波を撒いて場を整え、最終盤にまひるみで詰める、という立ち回りが強力そうです。

 後発からレジスチルを展開しても、電磁波以外に強い手を持たない彼に有り余る耐久力でできる仕事を用意することは難しく、後発適正は低いと言えます。

 先発なら、相手の攻撃を耐えることに長けたレジスチルが確実に電磁波で足を奪い、後発のエースポケモンが動きやすい場を整えながら麻痺バグという電磁波の最大出力を自然に狙え、最終盤に残ったレジスチルがアイへで麻痺ったポケモンまひるみをしかけて詰める、というところまでつながり、いかにも強力そうです。

 しかし、先発に出すということは、「火力が低い」という最大の欠点と真正面から向き合うことを意味します。構築に与える負担は、他3体とは比較にならず、構築を組む難易度が高くなることが予想されます。

 

<まとめ>

 それぞれが確かに異なる強みを持っていることは十分に確認できましたが、メタグロスレジスチルは少し不安定な側面もあり、そこが実際の使用率に現れているのかなという気もしました。

 運用法がガラッと異なるので、鋼枠だけ変えてそのまま採用、というわけにはいきませんが、鋼タイプとしてはどれも信頼に値する最高峰のステータスを持ったポケモン達なので、機会があれば使ってみるのも面白そうです。

 自分は育成が大変なので、あまりやる気が起きませんが…。考察するだけなら楽しいんですけどね笑笑

 

 以上。