構築草案

<前置き>

 ポケットモンスターというゲームにおける対人戦というコンテンツは、育成に労力があまりにもかかりすぎるため、一般的な社会人にとってはあまりにも贅沢な趣味と言わざるを得ません。

 私もその口で、育成にあまりにも時間が吸われてしまうため、このゲームにここまで労力をかけるべきなのか否かがわからなくなってしまいました。

 しかし、思いついたアイデアを腐らせておくのも何なので、概要をここに記しておきます。

 

<目次>

①腹太鼓神速ドーブル入りエルテラ

②エルテラガモス

③バンドリサマヨール

 

<①腹太鼓神速ドーブル入りエルテラ>

 エルテラドーという構築について、私はずっと疑問だったのですが、なぜドーブルなのでしょうか?ドーブルは言うまでもなく、種族値が低いポケモンです。55-20-35-20-45-75です。明らかに論外です。こんなポケモンがなぜ積極的に採用されることが可能なのでしょうか?

 ドーブルはフラットルールで唯一ダークホールが使えるポケモンであり、その1点のみで強力であるとされています。しかし、私はそれが疑問なのです。果たして、ドーブルダークホールは本当にそんなにありがたがって採用するほど強い技なのか?

 ドーブルがダークボールを打つことで、

 端で打ったら1.2手

 中央で打ったら1.8手

 期待値で得することができます。一見強そうに見えますが、よく考えるとダークホール以外に強力な攻め手を持たないドーブルは、眠った相手を前にやることがありません。よって、ダークホールが通る=確定でドーブルが1手損をする、ということになります。端で打ったら0.2手。中央で打ったら0.8手です。ドーブルを採用したことで無条件にディスアドを背負った状態で試合が始まっていることから、これがなぜ強いのかがわからないのです。また、ダークホールが通らなかった場合はドーブルという足手纏いを抱えてダメージレースが進行するので、ここから不利を背負います。それを警戒して猫騙しやこの指止まれをするのは一見択として成立していそうですが、ダークホールを打たないドーブルに、果たして価値はあるのでしょうか?ダークホールに対して十分に戦えるリソースを持った構築は、ダークホールを無視することで、同時に猫や指も対策できているのです。つまり、ダークホール以外に攻め手を持たないドーブルは、相手がラムのみを持っていることを承知でダークホールを選択しなければいけないのです。そして、ダークホールを満足に選択できて、初めて相手と対等になる。それがドーブルというポケモンです。こんなポケモンが強いというのが、果たしてどうやって成立するのでしょうか?実際に、ドーブルダークホールを放置できる盤面を作ることは、ドーブル対策として機能し得ます。

 少し話は逸れますが、思うに、ドーブルの強みというのは、低すぎる種族値で簡単に退場できつつ、どんな技構成にでもできることから、ギミック展開のサポート役として適性が高いということのみに限定されるのではないでしょうか?トリプル好きな方々はギミック大好きなイメージがあるので、それならこの評価の高さも頷けます。しかし、エルテラドーのような単純なスペックで殴るようなパーティにドーブルを入れるのは非効率であるような気がしてならないのです。

 この考えの真偽を確認することはできませんが、とりあえずこの仮説に則ってエルテラドーを改造してみて、どんな感じになるのか見てみたいと思った所、育成に時間取られすぎて萎えているというのが現状です。具体的な案は、"ドーブルに強い攻め手を持たせる"ということです。

 要は、ドーブルが攻撃のコマとして強ければ、上記の問題は全て解決します。ドーブルが持ちうる実践的な攻め手は、大きく3つあると思います。

 1.絶対零度

  実用的に使うなら心の目と組み合わせるしかないと思いますが、「今から絶対零度を打ちます」と言っている低種族値ポケモンに手を渡してくれるかどうかというのが最大の問題です。それさえ解決できるなら、かなり強力な形になりそうです。しかしそれらしい形が思い浮かばないので不採用。

 2.変身

  ダークホールでサポートしたポケモンに変身するというのは、自然に効率的な攻め手になりますね。絶対零度と違って1手で完結するのでかなり強そうです。しかし、「ドーブルを放置して隣を集中する」という手でダークボールとまとめて対策可能なので、多少の疑問が残ります。

 3.腹太鼓+神速

  こちらも1手で完結するので強そうです。意地珠+6神速の火力は49296。アローの鉢巻ブレバを耐えるポケモンを余裕を持って1撃で倒せるくらいの火力になります。また、ドーブルを放置するとこれが飛んでくるということなので、変身の問題点も解決しています。珠という強い持ち物をドーブルという弱いポケモンに持たせるべきかどうかはわからないですが、おそらくこれが一番実用的なんじゃないかなと思いました。珠腹太鼓なんてちょっと触られるだけで死ぬポケモン使ってられるかという感じですが、ドーブルが死ぬ=ドーブルが狙われている=エースが生き残るということなので、サポートというドーブルの本来の役目はしっかり果たすことができています。範囲技で巻き込まれると厳しいので、残り1枠にはワイドガードを採用したいのでしょうか?しかしメインの動きに忠実になった結果、ワイガというハイリスク技を採用しようとしているというのが気になるので、普通に猫で良いのかもしれません。とりあえずこのドーブルをエルテラドーに入れて構築調整して、誰か回してみてください。そしてどんな挙動になったのか教えてください。俺はもう疲れた。

 

<②エルテラガモス>

 ドーブルは弱いので、強いポケモンであるウルガモスを入れようという案です。本命の構築内最強手である叩きテラキを止める手に対して、怒りの粉と蝶舞という、2つのカウンターを持っており、種族値も高くていかにも強そうです。太鼓神速ドーブルと違うのは、広くは勿論ガモスは強いポケモンであるということと、狭い点では範囲技に耐性があるということです。ニンフのハイボはガモスが半減、雪崩はテラキが半減なので、どちらかが生き残ります。地震や濁流、マンダのハイボなどは通るので、そこに対して対応できるプランは用意したいですね。

 努力値振りは範囲技を耐えるためにもHBが良いのでしょうか?とりあえずBが低いのでここに努力値を振ると数値の効率はいいのでそれで回してみて感触を知りたい所です。

 技構成は、蝶舞/熱風/怒りの粉までは確定でしょう。あとは暴風、めざパ、守るなどもありますが、中でも吹き飛ばしがかなり強そうですね。テラキ守る+ガモス吹き飛ばしで守るを貫通して有利盤面を作る手を持つことができます。トリルや滅びもついでに対策できますね。

 俺はもう疲れたんで誰か代わりにやってください。なんで対戦したいのに何時間もバトルリゾートを走り回らなきゃいかんのか…?

 

<先発バンドリ後発サマヨール>

 要は後発サマヨールが強いのではないか、という話です。

 先発に出すと、

 ①挑発で置物化

 ②トリルした後に置物化

 という2つの問題に苛まれるサマヨールですが、この2つの問題が後発に置くことである程度解決されます。

 後発から展開することで、挑発を持っていないポケモンの前に、狙って出して確実にトリルを選択することができます。トリルした後のサマヨールに攻め手がない問題も、決着の近い後発に置くことで、ターンあたりの火力が下がる影響を低下させ、また、挑発を喰らわない=攻撃技を食らうことでダメージを受けたサマヨールが痛み分けで回復しつつ多少の火力貢献をすることにつながります。また、ラス1に残ったサマヨールは、痛み分け+ナイトヘッドという、タイマンでいかにも強そうな手を持っています。痛み分けを強く使いたいことから、BD不利にするのが良いのでしょうか?その場合の耐久指数は、B-D=31668-34800です。H振り(呑気HDと仮定)なら、B-D=36382-40131になるのでだいぶ損してますが、どちらが良いかは不明です。よくわからないのでとりあえず面白そうなBD振りにしてみたいですね。

 先発に出すのは、後発に残らないs操作持ちとして種族値も高いバンドリが適任でしょうか?

 後発に並べる相方は、よくわからないのでとりあえずニンフィア、サマヨニンフでガルドがどうしようもないので、そこを詰められつつさらに潮吹きと後発猫騙しという3つの広い手があるカメックスを採用すると強そうです。

 具体的な構築案は以下です。

 先発バンギ+中央クレセリア+ドリュウズ

 後発サマヨニンフカメックス

 クレセは、カメックスを採用したせいでマンダを採用できなくなったので、代わりの浮いているポケモンが欲しかったのですが、ラティより耐久が優れており、かつSもより低くてトリル下でも腐らないのが優秀そうなので、とりあえず彼女にしてみることにします。クレセは火力低いので、先発のダメージレースにしっかり付いていけるようにするためにも眼鏡などの火力upアイテムを持たせてあげたいですね。ラティクレセ以外は種族値がグン!と下がるのでとりあえず考慮しないことにします。

 先発バンドリクレセの基礎数値の高さでダメージレースについていき、倒れたらサマヨールを出してトリルを展開し、カメの猫で補佐しながらニンフのハイボで一気に巻き返す、というのが想定している動きになります。

 バンドリということでランドロスに対する対応を考えておきます。

 後発ランドロスはトリルニンフで蹂躙して終わりなので何も考えなくて良いと思います。サマヨールでも詰められるので文字通り無視できそうです。

 初手ランドロスですが、とんぼがえりと、それから地震で突っ込んでくる2つの手がありますね。とんぼがえりを打たれた場合はトリルで蹂躙できる盤面が確定するので考えなくて良いと思います。地震(あるいはバンギに馬鹿力)という、居座って殴ってくる手をされると、ランドロスというリソースをバンドリに対して効率的に消耗されるので辛そうです。これに対するカウンターを用意する必要があります。そこで、「バンギでs判定してクレセで仕留める」という形にするのはどうでしょうか?バンギにsを振れば特性の発動順でスカーフ判定ができますが、スカーフでなければ上からクレセの冷凍ビームでワンパンして一気にアドバンテージを取ると。スカーフの場合は、とんぼがえりに冷凍ビームを合わせてしまうと、威嚇が効かないことでダメージレースの主力になれるクレセリアが一気に打点を落としてしまうことから、他の手を用意する必要がありそうです。ランドロスに触るととんぼがえりで受けられて威嚇の残ったバンドリが押され負けする可能性があるので、ランドロスを放置しながら、余っている襷を持たせたいドリュウズ剣舞をしてみたりするのが良いのでしょうか?バンギラスサマヨールに下げることで一応相性補完が取れますが、最速バンギがトリル下で強いかどうかが少し疑問なので、あまり良い手ではなさそうです。バンドリを使った経験が無いのでよくわからないです。誰かやってみてください。俺はもう疲れた。

 

<終わりに>

やってくれる人いたらTwitter@nyankotofuまで連絡ください。育成済みエルテラ、6vメタモン、周回で手に入れたポイマたくさん、31-×-31-31-20〜21-31の図太いクレセとか色々差し上げられます。

ファイアローに関するあれこれ

 ファイアローが強いポケモンであることはもちろん自明です。自分もそう思っていたので、「強いポケモンであるファイアローは積極的に採用しよう」と思って使っていました。しかし、使っているうちに、「果たしてそこまで言われているほどのポケモンなのか?」という疑問を持つようにもなりました。

 どういうことかというと、ファイアローは大して高くもない種族値のほとんどが、特性によって意味をなさないSに吸われており、根本的な種族値量が圧倒的に低いのです。実質種族値を計算すると270という数値が出ます。これはエルフーンの292よりも一回り低いほどの低水準です。実際に、アローがブレイブバードを1回打っただけで簡単に倒されてしまうほど貧弱なポケモンであることは、ほとんどの人が体験していることかと思います。

 では、大した打点も出さずに1回動いて死んでいくファイアローというポケモンが、なぜこんなにも強いポケモンとして知られているのでしょうか?疾風の翼はもちろん強力ですが、相手を倒せなければ先制する意味はないですし、また、相手に倒されないなら先制する意味はありません。彼我の行動回数が変わらないなら、Sが高い意味はないのです。なので、単体飛行打点を使いたいと思った時に、ファイアローが最強であることは必ずしも自明とは限らないはずです。

 思うに、その理由の1つに、「ファイアローより数値の高い単体飛行技使いが少ない」というものがあるのではないでしょうか。メガボーマンダが明らかにそうですが、彼は実際によく使われているので除外します。

 まず、飛行技の威力を考えた時、ブレイブバードと同じ水準で威力の高い技はほとんどありません。

 ①ブレイブバード

 ②アクロバット

 ④ゴッドバード

 ③暴風

 このあたりでしょうか。どれも癖のある技ばかりです。アクロバットはジュエルが無い6世代では持ち物を能動的に消費する手段が限られるので使い勝手が悪いですし、ゴッドバードも持ち物が数値補正の乗らないパワフルハーブで固定され、暴風は命中不安です。そして、これより下は一気に燕返しエアスラッシュまで落ちます。

 なので、ブレイブバードを使えるポケモンについて、その実質種族値を比べていこうと思います。

 比べる条件は以下です。

 ①持ち物、特性補正込み

 ②AS実質種族値で比べる

 ③持ち物はスカーフor鉢巻

 ④アローは合計種族値を+30して考える

 ③は、単純な数値を比べるためにこうします。アローと同じ挙動をさせるために、スカーフを持たせて先制することを想定しています。

 ④は、アローはSに降らなくても先制できるため、Hに振る余裕があり、実際の種族値は+30して考えることができるからです(Sに振るアローも存在しますが、とりあえず考えないことにします)

 では、計算結果は以下になります。 

 

ポケモン名-実質種族値-持ち物

ファイアロー-369-鉢巻

クロバット -308-スカーフ

      -366-鉢巻

バルジーナ -350-スカーフ

ウォーグル -348-スカーフ

      -422(負けん気発動)-スカーフ

ムクホーク -335(捨て身)-スカーフ

エアームド -329-スカーフ

 

 これより下は元々の種族値が30ほど離れるので除外します。

 驚くべきことに、一般ブレイブバード使いで最もステータスが高いポケモンファイアローであるという結果が得られます。唯一ウォーグルだけが明確に逆転する余地を残しますが、基本的にはアローの方がステータスが高いのです。

 ここからわかることは、アローはやはり飛行ポケモンの中で最強であるということです。お疲れ様でした。ここまで読んでいただきありがとうございました。

…………

………

……

 本当にそうでしょうか?

 ブレイブバード使いの中では、という括りで考えれば確かにそうかもしれませんが、暴風やゴッドバード、アクロバット使いを除外しても、本当にいいのでしょうか?

 例えば、雨下なら暴風が必中で使えます。暴風使いにはカイリュートルネロス、ファイヤーという高種族値ポケモンが多いです。ゴッドバードやアクロバットは、両採用すれば無理なく威力の高い飛行技が使えます。スカーフを持てないことで先制できない問題も、追い風をすれば解決しますし、そもそも先制することはポケモンバトルにおいて必須ではありません。これらは構築の組み方でいくらでも対応できる要素です。「なんの脈絡もなく先制して打つ安定飛行技」の中ではアローが最強であることはほぼ自明であるようですが、それに拘らず、もっと視野を広げて比べてみるとどうなるのでしょうか?

 暴風、ゴッドバード、アクロバット、ついでにエアスラッシュ使いについても、その実質種族値を比べてみます。

 

ポケモン名-実質種族値-使用技-持ち物

ファイアロー-369-ブレイブバード-鉢巻

ファイヤー -403-暴風-スカーフ

      -358-エアスラッシュ-スカーフ

フリーザー -423-暴風-スカーフ

カイリュー -399-暴風-スカーフ

      -468-暴風-眼鏡

トルネロス-371-暴風-スカーフ

      -437-暴風-眼鏡

      -329-エアスラッシュ-スカーフ

オンバーン -354-暴風-スカーフ

      -417-暴風-眼鏡

      -313-エアスラッシュ

アーケオス -392-ゴッドバード-パワフルハーブ

      -310(弱気)-同上

      -357-アクロバット-無し

トゲキッス -473(張り切り)-ゴッドバード-パワフルハーブ

      -382-エアスラッシュ-スカーフ

      -431-エアスラッシュ-眼鏡

ルチャブル -351-ゴッドバード-パワフルハーブ

      -384(H振り)-同上

      -319-アクロバット-無し

      -349(H振り)-アクロバット-無し

 

 エアスラッシュはともかくとして、暴風とゴッドバードについてはかなりの高水準を出すことができていますね。解説しておくと、ブレイブバードは反動ダメージがあるので、実際の技威力ほどダメージレースの有利さが無く、それが計算結果に反映されています。単純な与ダメ被ダメだけで比べると、こういう結果が出るということになります。

 この結果から私は、ファイアローというポケモンを、以下のようなポケモンであると考えました。

①入る構築を選ばない

②どんな状況でも強さが安定している

③数値自体は低めなポケモンである

 このうち、②は明確にファイアローの強みと言えますが、①と③に関してはどうでしょうか?入る構築を選ばないというのは便利でいいですが、それはそのまま、「その構築にファイアローを採用する必要が、必ずしも無い」ということを意味します。数値も低めであるファイアローは、「強いポケモンだから」という理由で無条件に採用されるポケモンでは無さそうです。ニンフィアランドロスギルガルドを採用するのとは、少し話が変わってくるのではないでしょうか?

 もしかすると、今までファイアローを採用していた枠に、カイリュー、ファイヤー、トゲキッスといった高種族値ポケモンを採用することで、また違った挙動、違った強みが発見できるかもしれません。雨パなら自然に暴風を採用できるので特にそうですね。

 以上です。

高種族値鋼タイプの比較

<前置き> 

 600族・準伝説クラスのステータスを持つ鋼タイプは合計で5体存在します。

ギルガルド

ヒードラン

メタグロス

レジスチル

コバルオン

 この下は一気にジバコイルまで落ちます。

 このうちコバルオンは、格闘タイプをもち、鋼タイプとしてはフェアリー、飛行タイプが等倍で通ることから役割対象が大きく変わるので除外して、他4体について比較していきます。

 

<実質種族値による比較>

 実質種族値というのは、技威力やステータスの無駄等の補正を考慮した合計種族値のことです。(詳しくは以下↓)

https://tofu9999.hatenablog.com/entry/2023/05/27/145533

 

ポケモン名-実質種族値-使用技

ギルガルド-478(盾)-シャドーボール

                  -289(剣)-シャドーボール

ヒードラン-492-熱風

     -405-ラスターカノン

メタグロス-407-アイアンヘッド

レジスチル-426-アイアンヘッド

 

 単体打点で見ると、一位は当たり前ですがギルガルド、2位は意外にもレジスチルという結果になりました。レジスチルはsが低いので、ステータスの強度が高くなりやすいです。

 ガルドは剣になると一気に貧弱なステータスになりますね。いかに盾で受けて剣で攻撃という立ち回りに忠実になれるかが、よっぽど重要ということです。

 ヒードランは単体打点の数値は最下位(グロスとほぼ差はありませんが)ですが、熱風という強力な手を持っているので、実際のダメージレースでは一歩抜きん出ることができそうです。

 レジスチルは数値の上では高いですが、BDが突出しているので、実際に受けるダメージとしてはそこまで大差はなさそうです(総合耐久はずば抜けています)また、メタグロスにも言えることですが、物理型なので威嚇が辛いと思いきや、クリアボディなので威嚇無効です。ニンフィアに対するダメージを考えると、役割遂行だけなら彼らの方が優秀であると言えるでしょう。

 

<それぞれの個性>

ギルガルド

 長所

 ①ゴーストタイプであること

 →攻撃タイプとして、等倍範囲が広いです。鋼タイプの耐性で受け、ゴーストタイプで半減させずに攻撃できるというのは、彼の明確な強みです。弱点の格闘タイプを無効にできるのも強力です。

 ②数値が高い

 盾で受けて剣で攻撃、という動きに忠実である限り、彼は他3体とは比較にならない数値で役割対象を確実に突破することができます。

 ③ワイドガードを使える

 ニンフィアハイパーボイスと、弱点の地震ワイドガードで防げるのは彼だけです。

 

 短所

 ①剣フォルムの数値が低い

 剣フォルムの数値はあまりにも低いです。289というのは、ファイアロー(270)とほとんど大差ない数字です。エルフーン(292)より低いです。

 そして、盾フォルムに戻るにはキングシールドを選択する必要があります。キングシールドを打つターンは当たり前ですが攻撃できないので、ターンあたりの火力で大幅な不利を被ります。それで数的不利をとっていては、せっかくの高種族値が活かせません。キングシールドを無理なく選択できる理由、あるいは、剣フォルムで行動できる理由を構築単位で用意することが重要になりそうです。

 

ヒードラン

 長所

 ①ほのおタイプであること

 鋼タイプの体制で受けて、熱風やオーバーヒートなど威力の高い技が多い炎タイプで攻撃できるというのは、彼の明確な強みです。また、鋼タイプでありながら鋼タイプに強いという点も、ほのおタイプを持つメリットと言えます。

 耐性も優秀です。フェアリーを1/4で受けられるので、役割対象から崩されることはほとんどありませんし、苦手なはずの炎タイプも無効にでき、処理する手段が著しく限られます。

 ②挑発、吠える

 唯一挑発と吠えるを覚えます。これらはどちらも相手の搦手を止める技であり、役割遂行の確実性に寄与します。

 

 短所

 ①炎タイプであること

 炎タイプであることは、いいことばかりではありません。例えば、地面タイプが4倍なので、地震に巻き込まれると簡単に倒されてしまいます。水技が弱点なのも痛いです。これらはどちらも攻撃技のタイプとして一般的であるからです。他3体以上に、弱点を突かれたときの脆さが際立っていると言えます。

 

メタグロス

 長所

 ①エスパータイプであること

 ほとんどゴーストタイプの劣化ですが、絶対的な性能として高いことは自明でしょう。格闘タイプが等倍で通るのは大きな差であるように見えますが、威嚇猫フェイント等で役割過多になりがちな格闘タイプが、等倍の物理技で落とせないグロスを触る手に良い手は多くなさそうなので、そもそも殴られることが少なく、差は出にくいです。

 ②両壁を使える

 リフレクターと光の壁を使えるのは彼だけです。また、先発に出して壁を張る場合、受けやすい威嚇が無効であるという点でもシナジーがあります。

 ③鋼タイプの先制技を使える

 バレットパンチを使えるのは彼だけです。ギルガルドも影打ちを覚えますが、役割対象のフェアリーに弱点で通るという点で、大きな差があります。また、両壁を採用する場合、それで手が埋まりがちなメタグロスの行動回数を底上げし、役割遂行に支障をきたしづらいという点でも、シナジーがあります。また、ギルガルドと違って先制しても耐久力を損ねません。

 

 短所

 ①特殊耐久が低い

 メタグロスのH-Dは80-90と、他3体に比べて大きく劣っています。また、弱点のうち炎、悪、ゴーストタイプは特殊技が多く、弱点を突かれた時の脆さはヒードランほどではないにしろ顕著で、これは彼の明確な短所です。

 ②Sが低い

 両壁を使えることがアイデンティティの一つであるわけですが、鈍足でかつDが脆いポケモンである彼はSに振る余裕を確保しづらく、ほとんどの場合後攻で壁を貼ることになり、壁ターンを1つ無駄にするという点で効率が悪いです。

 

レジスチル

 長所

 ①電磁波を使える

 電磁波を使えるのは彼だけです。鋼タイプでニンフィアに鋼技を打った結果、炎タイプや水タイプに受けられる、という場面は少なくありませんが、彼は電磁波という、高い強度で一貫する技を持っています。また、電磁波+アイアンヘッドによるまひるみで、ローリスクハイリターンな運ゲーを自然な流れで、一方的に仕掛けることができ、これは明確な長所といえます。

 ②弱点を突かれにくい

 他3体は鋼タイプ以外にタイプを持つため、別の方向から弱点を突かれるという側面を持ちましたが、彼は鋼単タイプなので、弱点を突かれる機会が少なくなりやすいです。

 具体的には、以下のような性質が考えられます。

 A.地面タイプで最もポピュラーな地震はダブルダメージで通るので致命傷になりにくい

 B.猫騙し、威嚇、フェイントなど役割過多になりがちな格闘タイプは、レジスチルに積極的に触りに行く手を持ちづらい

 C.ほのおタイプは普通に通るが、それはヒードラン以外の2体も同じこと

 そもそも火力が低いので放置されやすく、総合耐久もずば抜けていることから、他3体に比べて、倒されにくいという特徴があり、これは明確な長所と言えます。

 

 短所

 ①火力が低い

 トリプルバトルにおいて、これは致命的な弱点です。レジスチルに限らず、耐久寄りのポケモンに普遍的に言えることですが、ターンあたりの火力が低いことから数的不利を取りやすく、最終的に集中されて負ける、という試合展開になるとどうしても足手纏いになります。構築単位で取り組むべき大きな問題であり、これを解決することを強制されるというのは、あまりにも大きな短所です。

 ②電磁波以外に強い手を持たない

 火力が低いこととも通じますが、彼は電磁波以外に強力な攻め手をほとんど持ちません。そして、電磁波は地面タイプや電気タイプ、あるいは挑発で一方的に封殺されます。これもまた構築単位で解決しないといけない大きな欠点であり、構築に与える負担が大きいという点が、彼の最大の短所であると言えるでしょう。

 

<それぞれの運用案>

ギルガルド

 後発に置いておき、役割対象に後投げor死に出しからキングシールドで盾フォルムを維持しつつ詰める、という立ち回りが強力そうです。

 先発で出した場合、盾フォルムを維持するために打ったキングシールドで行動回数に不利をとる、というリスクを常に背負うことになります。

 その点後発なら、ラストのタイマンでキングシールドは安定択になりやすく、より強力であるといえます。また、後投げした際も、盾フォルムで攻撃を2回受けた後に剣フォルムで攻撃できるので、自然な流れでギルガルドの体力というリソースを効率よく使うことができます。

 他には、襷を持たせて先発で出し、剣フォルムの脆弱性を無視してアドバンテージを稼ぐ、という立ち回りも強力そうです。

 

ヒードラン

 後発に置いておき、役割対象に後投げするか、死に出しから展開して熱風で相手を一掃しつつ耐性で詰める、という立ち回りが強力そうです。

 弱点を突かれた時の脆さが欠点である彼は、先発に出すと不利対面を取った際のケアを高い強度で用意する必要があり、構築に与える負担が大きくなってしまいます。

 その点後発なら、繰り出す相手を選んで確実に有利対面が作れますし、耐性による精度の高い詰めという彼の強みが活かされやすいです。また、熱風という強力な攻め手も、相手のリソースが十分である先発より、互いに削れた後発の方が有効に通りやすいです。

 

メタグロス

 先発、あるいは後発から出して両壁を貼りつつ堅実にダメージを稼ぐ、という立ち回りが強力そうです。

 両壁がアイデンティティの1つである彼は、当然それを採用したいわけですが、先発に出す場合と後発に出す場合で、少し挙動が変わることが考えられます。

 先発に出す場合には、以下の長所があります。

 ①威嚇が無効である

 先発で壁を張った時に、高い頻度で飛んでくる威嚇を無効にでき、耐久数値で一方的な有利を取ることができます

 ②弱点保険が発動しやすい

 先発で出した場合、対面するポケモンの数が後発より多いので、弱点をついてくるポケモンとより対面する機会が多くなり、壁と相性の良い弱点保険を発動する機会に多く恵まれます。

 ただし、①弱点を突かれた時の脆さと、②後攻壁の効率が悪い、という短所ももろに出るので、構築単位で解決する必要があります。

 後発から出しても長所短所が逆転するだけで、本質的な問題は変わらないので、壁メタグロスを採用する場合は、構築に与える負担の重さを受け入れる必要がありそうです。

 ただし、壁というアイデンティティを捨て、後発からトリルエースとして展開する場合は以上の問題を全て解決できるので、そういった立ち回りも十分に考えることができそうです。

 

レジスチル

 先発から展開し、相手の攻撃を耐えながら電磁波を撒いて場を整え、最終盤にまひるみで詰める、という立ち回りが強力そうです。

 後発からレジスチルを展開しても、電磁波以外に強い手を持たない彼に有り余る耐久力でできる仕事を用意することは難しく、後発適正は低いと言えます。

 先発なら、相手の攻撃を耐えることに長けたレジスチルが確実に電磁波で足を奪い、後発のエースポケモンが動きやすい場を整えながら麻痺バグという電磁波の最大出力を自然に狙え、最終盤に残ったレジスチルがアイへで麻痺ったポケモンまひるみをしかけて詰める、というところまでつながり、いかにも強力そうです。

 しかし、先発に出すということは、「火力が低い」という最大の欠点と真正面から向き合うことを意味します。構築に与える負担は、他3体とは比較にならず、構築を組む難易度が高くなることが予想されます。

 

<まとめ>

 それぞれが確かに異なる強みを持っていることは十分に確認できましたが、メタグロスレジスチルは少し不安定な側面もあり、そこが実際の使用率に現れているのかなという気もしました。

 運用法がガラッと異なるので、鋼枠だけ変えてそのまま採用、というわけにはいきませんが、鋼タイプとしてはどれも信頼に値する最高峰のステータスを持ったポケモン達なので、機会があれば使ってみるのも面白そうです。

 自分は育成が大変なので、あまりやる気が起きませんが…。考察するだけなら楽しいんですけどね笑笑

 

 以上。

【ORASトリプル】高種族値手動雨

<前置き>

 周知の通り、雨クチートに代表される雨パは非常に強力なパーティですが、私は個人的に雨パがあまり好きではありません。なぜなら、雨パを組むと、パーティの種族値が低くなってしまうからです。

 例えば砂パなら、砂起こしポケモンが必要であるという尤もな理由で、最強のポケモンであるバンギラスを自然と採用できるのに対し、雨パの場合は、なんとニョロトノを採用しなければなりません。戦力差は明らかです。

 この雨パが抱える構造的問題を解決するためには、「雨パだからあめふらしを採用」という固定観念を疑わなければなりません。本来、ニョロトノは積極的に採用したいポケモンでは無いはずです。

 そこで、「高種族値ポケモンによる手動雨」というコンセプトで構築を組むに至りました。以下、各ポケモンの大まかな採用理由です。

ラグラージ:特性がすいすいのポケモンの中で最も種族値が高い

シャワーズ:濁流がタイプ一致で使えるポケモンの中で、最も種族値が高い

クレセリア:雨乞いが使えるポケモンの中で、最も種族値が高い

メタグロス:壁を貼れるポケモンの中で、初手で重いハイパーボイスに耐性がありつつ、種族値が高い。

サンダー:追い風が使えて、ラグラージ地震を無効にできて、処理の重いボーマンダに強くて、種族値が高い

ファイアロー:不利対面で無力なグロスの交代先として機能して、ラグラージ地震を無効にできて、後発からの詰め性能が高くて…えぇっ!?種族値が低いんですか!?

 

<立ち回り>

初手:クレセリア+中央シャワーズ+メタグロス

 1ターン目は雨乞い+濁流+壁貼りから入ります。先発では相手にS優位を取らせる前提で、こちらは火力耐久を高めて正面から殴り合い、相手にリソースを吐かせます。

 シャワーズが倒れたらラグラージを出して、上から地震で一掃します。

 雨が切れる前にサンダーが追い風を打ち、S優位を継続できれば盤石です。

 

<個体解説>

f:id:tofu9999:20230525032805p:image

クレセリア

持ち物:オボンのみ

特 性:浮遊

調 整:Hぶっぱ、こご風で最速マンダ抜き、余りC

 技 :雨乞い/サイコキネシス/凍える風/電磁波

252-0-0-60-0-196

227-×-140-101-165-127

 

 雨乞いが使えるポケモンの中で、最も種族値が高いので採用しました。

 初手に投げて雨乞いをした後、電磁波でラグラージシャワーズが動きやすい盤面を整えるのが仕事です。雨パですが、雨を降らせる手段が彼女の雨乞いしかないので、よっぽど優先的に雨乞いを選択します。

 持ち物は、耐久力を高めるオボンのみを採用しました。エルテラの叩き雪崩+リザyの熱風とかまで耐えます。

 雨乞いは、役割を果たすために必要です。S振りなので、耐久振りリザyやガルーラ、準速キザンなどの上から打つことができます。

 サイコキネシスは、最大打点なので採用しました。

 冷凍ビームは、挑発対策と、重いボーマンダに対する打点です。

 電磁波は、初速の遅いラグラージを補助するために必要です。

 

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シャワーズ

持ち物:命の珠

特 性:貯水

調 整:Bぶっぱ、C11n、余りH

 技 :濁流/ハイドロポンプ/守る/雨乞い

100-0-252-156-0-0

218-×-112-165-115-85

 

 濁流が使える一般ポケモンの中で、最も種族値が高いので採用しました。合計種族値自体はキングドラの方が上ですが、シャワーズは必要ないASが低いので、初手で上を取らない前提のこの構築では明確にシャワーズが1番です。

 初手に投げて、雨下で濁流を連打するのが仕事です。高い耐久から放たれる高火力の濁流は制圧力がとても高く、初手でクレセグロスが攻撃しないことを前提にしているにも関わらず、ダメージレースでの不利は全く感じられませんでした。

 持ち物は、守りながら濁流の火力を最も上げる命の珠。

 濁流は役割を果たすために必要です。雨下でニンフの眼鏡ハイボと同じ火力が出ます。

 ハイドロポンプは、最大打点なので採用しました。

 守るは、相手のs操作の時間稼ぎや、縛られている時に使うので、どうしても必要です。

 雨乞いは、技枠が余っていたので採用しました。シャワーズを放置してくるギフトパなどに刺さります。

 

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メタグロス

持ち物:弱点保険

特 性:クリアボディ

調 整:Hぶっぱ、A11n、余りD

 技 :アイアンヘッド/バレットパンチ/リフレクター/光の壁

252-36-0-0-220-0

187-176-150-×-138-90

 

 先発では相手にs優位を取らせて殴り合うというコンセプトなので、耐久を底上げできる両壁が欲しいのですが、その中で、①種族値が高く、②初手に投げる都合威嚇無効が優秀であり、③重いハイパーボイスに耐性がある、という点を評価して採用しました。

 初手に投げて、壁を貼りつつアイへバレットでダメージを稼ぐのが役割です。リザードンには簡単に縛られてしまうので、初手で対面した場合はアローに下げます。この時、ラグラージ地震で後発グロスの弱点保険を起動する手が生まれて強いです。

 持ち物は、壁と相性が良く、メタグロスの単体性能を最も引き上げる弱点保険を持たせました。

 アイアンヘッドは、タイプ一致で命中安定なので採用しました。

 バレットパンチは、Sが低い上に壁貼りの仕事があって行動回数の少なくなりがちなメタグロスの攻撃回数を増やすために採用しました。フェアリーや岩などの役割対象に弱点をつけるのが優秀です。

 リフレクターと光の壁は、役割を果たすために必要です。

 

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ファイアロー

持ち物:拘り鉢巻

特 性:疾風の翼

調 整:HAぶっぱ

 技 :ブレイブバード

252-252-0-0-4-0

185-146-91-×-90-146

 

 メタグロスリザードンと初手で対面した場合の交代先が必要なのですが、その中で、①高火力の先制技で高い精度で切り返すことができ、②同じく後発適正が高く、③ラグラージ地震で巻き込まれない、という点を評価して採用しました。種族値が低いのが欠点ですが、しかし、果たしてファイアローの代わりにファイヤーを採用するべきなんでしょうか?

 リザードンに対して後投げして、ブレイブバードを打って派手に散るのと、死に出しから展開してブレイブバードで削れた相手を一掃するのが仕事です。

 持ち物は、ブレイブバードの火力を最も引き上げる拘り鉢巻。

 ブレイブバードは、役割を果たすために必要です。

 ブレイブバード以外の技を打つと単体性能を著しく損ねるので、基本的に打ってはいけないのですが、ブレイブバード以外の技を採用すると、やたらと打ちたくなってプレミの原因になるので、採用しないことにしました。自分の✝️意志力✝️では、フレアドライブを打ったことで勝つ試合より、ブレイブバードを打たなかったことで負ける試合の方が多くなりそうでした…。

 

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ラグラージ

持ち物:ラグラージナイト

特 性:激流→すいすい

調 整:雨下でスカーフランド抜き、Aぶっぱ、余りH

 技 :地震/滝登り/岩雪崩/守る

116-252-0-0-0-140

190-222-130-×-130-108

 

 特性がすいすいのポケモンの中で、最も種族値が高いので採用しました。

 死に出しから展開して、消耗した相手を地震で一掃します。有利な相手に出してメガシンカターンの隙を埋めることを意識すると、強い動きになります。

 持ち物は、メガシンカするためにメガ石。

 地震は、役割を果たすために必要です。

 滝登りは、最大打点なので採用しました。

 岩雪崩は、非雨下でもリザードンを倒すために必要です。後発にリザードンを置かれると、そういう展開になります。

 守るは、S操作の時間稼ぎと、詰めの段階における縛り関係の調整に必要です。

 地味な性能に見えますが、ステータスがずば抜けて高いので、信用して素直に殴り合わせてあげれば、メガガルーラに勝るとも劣らないほどのスペックがあるポケモンであると感じました。

 

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サンダー

持ち物:カムラのみ

特 性:プレッシャー

調 整:Hぶっぱ、C11n、カムラ発動時最速マンダ抜き、余りB

 技 :雷/めざ氷/追い風/羽休め

252-0-168-36-0-52

197-×-126-165-110-127

 

 壁で耐えた後に消耗した相手を、追い風を展開して一掃できれば強いので、追い風が欲しいのですが、その中で、①種族値が高く、②ラグラージ地震を無効してくるポケモンにめっぽう強く、③ラグラージ地震で巻き込まれない、という点を評価して採用しました。

 死に出しから展開して、雨が切れるのに合わせて追い風を打ち、S優位を継続させてラグラージを暴れさせた後、羽休めで詰めるのが仕事です。

 持ち物は、岩雪崩で追い風が止められるのが嫌だったので、そこをある程度対策できつつ、羽休めと相性が良くて腐りづらいカムラのみを採用しました。

 雷は、最大打点なので採用しました。命中が低いのが難点ですが、雨下なら必中なので安心です。

 めざ氷は、ラグラージ地震を無効にしてきて処理の重いランドロスボーマンダに対する遂行技です。

 追い風は、役割を果たすために必要です。

 羽休めは、最終盤で雷を外してもきちんと役割対象に勝ち切れるようにするために採用しました。カムラのみが発動すれば、スカーフバンギもサンダーで詰めれます。

 

<主要な構築に対する立ち回りプラン>

・エルテラドー

 叩き雪崩とダクホを正面から受け止めて殴り合います。

 初手ではシャワーズが濁流を押しながら、クレセの電磁波、メタグロスアイアンヘッドテラキオンに集中します。

 叩き雪崩は全員が耐えますし、1匹動けばテラキオンは止められるので、割と悪くない賭けです。ダクホは打たれないかもしれないし、打たれてもかわせば爆アドですし、当たっても早くに起きれば問題ないです。相手の要求を全て通す形になりますが、それで失うアドバンテージは、エルフーンドーブルを放置して、盤面に数的有利を取ることで取り返します。

 なお、これは喜ばしい事実なのですが、クレセリアはオボン込みでA+6岩雪崩→晴れ熱風を耐えます。なので、クレセが寝かされても、最速起きすれば雨を降らして後発のリザyを置物にすることが可能です。

 要は、雪崩で怯むかどうか、ダクホを打たれた時に早く起きれるかどうかの勝負です。

 構築コンセプトの「先発で相手のリソースを枯らして後発で詰める」の動きが通るので、論理的に考えると相性はいいはずなのですが、雪崩とダクホの上振れが十分に考えられるので、そこまで有利とも言えないです。

 

・ガルスタン

 相手の手が多すぎて個別には対策し切れないので、試合展開で大きく2つに分類して、それぞれの立ち回りプランを用意しました。分類方法は、ガルーラが先発で来るか、後発から来るか、です。

①先発ガルーラ

 シャワーズが守りながらリフレクターを貼ってガルーラからシャワーズを保護して2ターン目から濁流を通しつつ、光の壁のタイミングを遅らせて、後発に控えているであろうニンフサンダーへの余力を残します。

 ガルーラへは電磁波かこご風入れておけば、ラグラージをかなり動かしやすくなります。相手の後発サンダーを相手できる駒が、こちらの後発でラグラージしかいないことを意識しつつ、ガルーラとニンフィアを処理できれば勝ちです。サンダーを雑に扱ってラグラージを大事に扱うのがいいと思います。

②後発ガルーラ

 シャワーズが動きやすいので、初手では気持ちよく有利が取れると思います。ただ、後発から展開してくるガルーラが相当重いです。ラグラージ地震ではなく、雨滝登りを打って、少しでもガルーラへのダメージを稼ぎます。

 初手で有利を取れることを最大限活かして、シャワーズをどれだけ気持ちよく暴れさせられるかが重要です。もし先発にサンダーが来るようなら、こご風守るで上を取ってから動かします。

 構築相性はいいと思います。シャワーズラグラージがどれだけ暴れられるかで勝負が決まる、つまり、基本の動きに忠実になればいいということです。このパーティは強いパーティだから、素直に動けば勝てるんだ、という気持ちを持つことが大事だと思います。

 

・雨クチート

 構築相性がものすごくいいです。

 クレセが手番を使わずとも勝手に雨を降らしてくれる上に、雨パのメンツがシャワーズを突破する手段に欠けるので、これ以上ない最大出力の濁流を気持ちよく打てます。壁と電磁波でシャワーズの障害を固めながら正面から打ち合えば、種族値差も相まってまず負けません。滅び展開も、ゴチルゼルが壁込みでもこちらの数値を受け止め切れないので、濁流を打って全体的にダメージを稼ぎながらゴチルを集中してトリルされないように動きつつ、後発でクチートを相手する余力を残すことを意識するといいです。

 負け筋はトリルクチートを通されることだけなので、ゴチルは優先的に落とします。最も、トリルクチートが通されても、サンダーもラグラージクチートと互角以上に殴り合えるので、絶望的な状況にはなりません。

 

・ギフト

 ゴリラがいるかいないかで話が変わってきます。

 ゴリラがいる場合は、クレセがバナナにされることが予想されるため、シャワーズは守らず濁流で突っ込みます。クレセは、生き残った時のことを考えて適当に雨乞いを選択しておきます。

 ゴリラがいない場合は、相手がクレセの雨乞いを止める手段をほぼ持たないので、グロスがヘイトを稼ぎながら炎技をアローで受けて、気持ちよく雨乞い濁流が通ります。一応、猫+キザンはたき落とすみたいなのが飛んできたら、クレセリアが何もできずに落とされますが、対応手段がないので仕方ないです。バナナにされたと思って諦めます。

 後発では、ラグラージがかなり刺さっているので、天候を取り返すために日本晴れを連打するであろうチェリムを放置しながら、天候は渡してやって、こちらは追い風ラグラージを通すことを優先するといいと思います。放置したチェリムは、最終的にサンダーでもアローでもグロスでも詰めることが可能です。

 雨が通るかどうかの勝負であるわけですが、クレセリアが雨乞いを打つことに特化している型なので、挑発が飛んでくる以外では、よっぽど不利な状況にはならないと思います。仮にクレセに挑発が飛んできた場合は、クレセのこご風やMOVEで補助しながら、シャワーズが雨乞いします。それも通らなければ、はっきりと不利になります。

 

・純正滅び

 当たったことないのでよくわからないですが、気持ちよく雨濁流が打てそうなので、基本の動きで押していけば、多分互角以上に戦えるんじゃないでしょうか。グロスが壁を張る必要がないのでなおさらです。

 

ゲンシグラードン

 あまりにも相性が悪すぎるので、とりあえず落ち着いてラーメンを食べに行くのがいいと思います。

 

<メガラグラージの使用感>

 この構築を組むに当たって、参考にしようと6世代のメガラグラージ入り構築記事を探したのですが、ほとんど見つからなかったので、私の考えを書いておこうと思います。

 見つかった数少ない記事では、「ステータスが爆発的に高く、地震が強力。初速が遅いが、後発から展開して盤面を調整すれば気にならない」と言う風に書いてあることが多かったです。そして、私もこの意見に全面的に同意します。

 すいすいアタッカーとしてのメガラグラージの強みは大きく3つあると思います。1つは、「種族値が高いこと」2つは、「地面タイプであること」3つは、「雨に依存していないこと」です。

 種族値が高いのは、もう説明しなくてもいいと思います。メガラグラージの数値が他のすいすいアタッカーと比べて圧倒的であることは自明です。

 では、地面タイプである、というのがどういうことかというと、先発で暴れた水アタッカーとの相性補完を自然と取れる、ということです。これは他のすいすいアタッカーには無い利点です。ルンパッパが水技を打った後にグドラを出して水技を打っても、相手の水タイプやドラゴンタイプは突破できませんが、ラグラージなら、最強手の地震が等倍で通るので、自然と試合を進行させていくだけで完成度の高い動きが実現でき、そこが強力であると感じました。唯一不利をとる草タイプについても、トリプルバトルに草タイプは少ないですし、地震で巻き込まれないために採用される飛行タイプで自然に対策できます。

 雨に依存していないというのにも地面タイプであることが関係していて、地震は濁流と違って非雨下でも火力が下がらず、雨を維持することにリソースを割く必要がありません。Sも追い風でカバーできます。追い風は、地震で巻き込まれないために採用される飛行タイプが自然と覚えています。

 逆に、メガラグラージの欠点ですが、こちらは2つのことを感じました。1つ目は、「初速が遅い」こと、2つ目は、「メガガブリアスとの差別化」です。

 1つ目に関しては、構築の組み方でいくらでも対応できるので、そこまで欠点というほどでもありませんが、そうはいっても初手守るを選択せざるをえない場面はあるので、そこは少し非効率に感じました。もっとも、少しだけです。

 それよりも気になるのが、2つ目のメガガブリアスについてです。今回の構築ではクレセリアが湿った岩を持っていないのですが、そうすると、メガラグラージが雨下で動けるターンというのは多くても1〜2ターンになり、ほとんどの試合で、

 ①素で上を取っている相手

 ②麻痺を入れた相手

 ③追い風下

 で、先手を取る、と言う立ち回りが多かったです。

 しかし、こういう立ち回りをするのであれば、メガラグラージではなく、より合計種族値の高いメガガブリアスを採用すべきなのではないか、という違和感をしばしば感じました。雨起動役に湿った岩を持たせられれば解決するのですが、マークの厳しいクレセリアに持ち物なしで雨乞いを打たせるのは少し不安ですし、かといって、先発で雨乞いを打つ補助をさせるポケモンを入れるのも、構築コンセプト的に本末転倒です。「雨に依存しない」という長所は、別の視点から見れば「雨を降らせる必要がない」に簡単に変わります。

 まとめると、「非常に強力だが、根本的な採用理由が怪しまれるポケモン」であると感じました。雨濁流シャワーズは、それ単体でも非常に強力であると感じたので、雨は先発で相手の天候展開を妨害しつつシャワーズを強化する技として割り切って、後発の展開は追い風メガガブリアスに絞った上で、取り巻きを調整して相性補完を取れれば、もしかするともっと強い構築にできるかもしれません。できないかもしれません。ドラゴンタイプのガブリアスは、ラグラージより弱点が多いのが、後発で詰めを任せるに当たって、思っているよりも厳しいのかもしれません。

 

<パーティ全体の使用感>

 パーティ全体の種族値がとても高い上に雨と壁で数値がさらに上がるので、ほとんどの相手に互角以上に殴り合え、とても強力でした。連打することになる電磁波と濁流によって、相手の行動が無条件に消えることがしばしばあるのも優秀です。

 苦手な相手としては、クレセリアを突破できる火力をいきなり出してくる構築でしょうか。さすがにクレセを1ターンで倒すのは無理がありますが、猫でクレセを止めながら、2ターンかけて突破してくるルートなら、火力が高いポケモンなら現実的に実現可能ですし、少し厳しいです。そこをある程度対策するためにクレセをSに振っています。ギフトゴリラはクレセを1ターン目から倒してくるので厳しいです。先発で耐えることがコンセプトの構築なので、ギフトゴリラのような火力に特化している相手は、構築相性が悪いとして割り切りました。

 ただ、雨乞いが打てなくても、そこまで著しくディスアドを背負うことはありません。そこが従来の、種族値で不利を背負う必要のある雨パとの大きな違いであると感じました。

 例えば、雨が無くても、シャワーズはグドラルンパと違ってすいすいに頼っているわけでは無いですし、耐久に隔絶的な差があるので、相手の攻撃をしっかり耐えて、濁流で押していくことができます。ラグラージに関しても、ラグラージが雨下で打ちたい技は滝登りでは無く地震なので、雨の有無はそれほど関係ありません。すいすいが発動しませんが、追い風があるので、そこまで辛くはありません。サンダーの雷が当たらなくなりますが、この構築のサンダーの役割遂行技はめざ氷ですし、いざとなっても当てればいいだけなので、そこまで気になるものでもありません。

 ただ、心残りはいくつかあって、例えば、雨パの低種族値を解決して構築のパワーを高めるというコンセプトなのに、気合の襷を採用することができませんでした。考察段階では、「これクレセリアに襷持たせた方がいいのでは…!?」とか、色々迷走してました笑笑

 総合して、非常に可能性を感じるコンセプトであると感じました。トリプルバトルには、まだまだ開拓の余地がありそうです。

 

 以上。

実質種族値の計算方法

<前置き>

 ポケモンの総合的な強さは、「ステータスの高さ」と、「役割に合った性能をしているか」などでおおよそ決まると思います。今回は、その内「ステータスの高さ」に注目して、考察していきます。

 一般的に、あるポケモンのステータスの高さを知りたいときは、そのポケモンの合計種族値を見るのが良いとされています。合計種族値が高いことは、配分の傾向よりも、そのポケモンの強さそのものに大きく影響します。例えば、ガブリアスバンギラスは配分の傾向に違いはあれど、合計種族値はどちらも600であり、ほとんど同じポテンシャルを秘めていると言えるでしょう。一方で、キャタピーは配分の傾向とか効率とかそれ以前の問題として、合計種族値が195とあまりにも低すぎるため、ガブリアスバンギラスよりもポテンシャルで劣ったポケモンであることは明らかです。

 しかし、配分の傾向による影響が少なくないのも、また事実です。例えば、ナットレイの合計種族値は489であり、明らかに見劣りしますが、CとSが極端に低いことから配分の効率が良く、数値はむしろ優秀である、という話は有名です。配分の傾向や効率が良いことで、本来の合計種族値"以上"のポテンシャルを発揮します。

 今、"以上"という言葉を使いました。私は昔から疑問に思っていたのですが、では、ナットレイガブリアスと比べて、具体的にどれくらいの数値差があるのでしょうか?

 この記事では、様々な要素を含めた「実質種族値」を計算することで、そのポケモンが実際に持っているポテンシャルを数値化して、より正確に判断する方法を紹介していきます。

 

<目次>

①ACを無視した実質種族値

②Sを無視した実質種族値

③BDを無視した実質種族値

④技威力による補正

⑤特性による補正

⑥実質種族値で色々なポケモンを比較してみた

 

<①ACを無視した実質種族値>

 物理型のポケモンはCを、特殊型のポケモンはAを無視することで、より正確な種族値が求まります。

 Aを無視した合計種族値を、C実質種族値

 Cを無視した合計種族値を、A実質種族値

 と呼ぶことにします。

 また、今後、 BDSについても無視していくのですが、Bを無視した場合は語頭にDを、 Dを無視した場合は語頭にBを、Sを無視した場合は語頭に Sを付けて呼ぶことにします。(例:CBSを無視した合計種族値は、ADS実質種族値と呼びます)

 実際にナットレイガブリアスのA実質種族値を比べてみます。

 ナットレイ:435

 ガブリアス:520

 85も離れているので、随分と差があるように感じますね。85の差というのは、例えばドサイドンのSが130になったり、クレセリアのCが160になったりするということです。数値の上ではそれくらいの差があるという計算になります。実際にはそこまでの戦力差は無いと思うので、より正確に比較するために、他の要素も計算に入れていきます。

 ところでその前に、両刀ポケモンのAC実質種族値の計算の仕方を確認しておきます。

 両刀ポケモンの実質種族値は正確に出すことが難しいですが、次の2つの手順を踏むことで、ある程度は求まるかと思います。

 1.両刀ポケモンの合計種族値からACの値を引き、ACの平均を足す

 2.それで出した数値よりも少し(5〜25程度)低く見積もる

 詳細な解説は長くなるので省きます。簡単に言うと、「両刀ポケモンは数値の効率が少しだけ悪いので、その分低く見積もる」ということです。

 

<②Sを無視した実質種族値>

 ポケモンバトルにおいて、Sというステータスはかなり異質です。ダメージレースに直接的な影響を一切与えないにも関わらず、重要なステータスとして周知されています。このままではどう扱って良いかわからないので、まずはSというステータスについて理解を深めようと思います。

 ポケモンバトルは、1ターンの間に互いに1回ずつ行動します。Sはこの際の行動順に影響を与えるステータスです。つまり、Sが高かろうが低かろうが、基本的な行動回数に変化はないということです。変化が起こるのは、先制した側のポケモンが、相手のポケモンを倒した時のみに限定されます。

 例えば、ガブリアス地震ナットレイを攻撃した後、地震を耐えたナットレイがジャイロボールでガブリアスを攻撃したとします。ここでガブリアスが倒された場合、それぞれの行動回数は一回となり、Sの影響は完全にありません。

 しかし、ナットレイのジャイロボールを耐えたガブリアスが、2回目の地震ナットレイを倒すことに成功した場合は話が変わります。この時、計2ターンの間に2回行動できるはずのナットレイが1回しか行動できませんでした。本来与えるダメージが半分になったということなので、これは事実上A1/2のデバフに相当します。Sによってダメージレースに起こる変化は、これのみです。

 つまりまとめると、こういうことになります。

「後攻を取ったポケモンは、一方的に実質種族値を減らされるリスクを背負う」

 行動回数は変わるかもしれないし、変わらないかもしれないので、そのように覚えておき、実際に実質種族値を考える際には、「上から倒された場合は、実質種族値はさらにこれくらい低くなるんだな」と低めに見積もるのが良いでしょう。

 具体的に計算していきます。

 ナットレイガブリアスのAS実質種族値は以下です。

 ナットレイ:415

 ガブリアス:418

 興味深いことに、ほぼ完全に追いついていますね。一般論としての「ナットレイ種族値は優秀」はとても正確であったと言えます。

 ただし、ナットレイはここから「上から倒されることによるデバフのリスク」を一方的に受け入れなければなりません。それによる補正がどのくらいかという話なのですが、どのように求めるかというと、実数値を半分にした値を、S実質種族値からそのまま引くのが良いと思います。この数値は、"縛られ種族値"と呼ぶことにします。

 実際に計算してみます。

 ナットレイをA無振りで育成した場合、実数値は114です。これが半分になるので、57数値を損することになります。ですので、ナットレイの縛られ種族値は358であり、これが、「ナットレイが上から倒された時のデバフの大きくなりやすさ」を含めた実質種族値ということになります。

 ついでにガブリアスの方も計算しておきます。A252ガブリアスのA実数値は182なので、2で割って91、これをS実質種族値の418から引いて、縛られ種族値は327ということになります。驚くべきことに、なんと逆転します。一見奇妙に見えますが、考えてみれば当然のことで、Sの高いガブリアスが上を取られて倒されることは、Sの低いナットレイが上を取られて倒されることより重いことなのです。この数字は完璧に正確ではないものの、信用に値する数字であると思います。

※詳細な解説は、かなり複雑になるので省きますが、簡単に結論だけ言うと、「火力が低い=耐久が高いポケモンは、そもそもの行動回数が多くなりやすいので、1行動減らされることの影響が少なくなりやすい」ということです。その傾向が数値に反映される計算方法を用いました。もちろん、ナットレイが1回しか動けずに倒された場合に発生するディスアドは、ガブリアスが同じ条件で倒された時に発生するディスアドと同じ量なので、例えばナットレイで炎タイプに突っ張ってあっさり倒されることが良手になり得るわけではありません。誤解を招きやすいと思うので、繰り返させていただきました。

 方針によっては別な計算方法もあるのですが、このやり方のメリットは計算が楽なことです。もう一つのやり方は、より正確なのですが、その分詳細な場合分けが必要です。

 

<③BDを無視した実質種族値>

  BDのうち、必要ない方を無視することで、より正確な種族値が求まります。

 今回の例で言うと、ガブリアスナットレイはどちらも物理技で攻撃し合っているので、Dの数値が一切影響していません。なので、Dを無視して計算してみます。

 ガブリアスナットレイの、ABS実質種族値は以下の通りです。

 ナットレイ:299

 ガブリアス:333

 またガブリアスが突き放してきましたね。ガブリアスのようなHが高いポケモンは、BD実質種族値が低くなりにくく、優秀です。実際にダメージ計算をして見ると、ナットレイガブリアスが同じ技威力で殴り合った場合、ガブリアスの方が与えるダメージの割合が高いことが確認できます。

 ついでに、BDの数値に大きな差があるヌメルゴンでも計算してみたいと思います。 

 ヌメルゴンの実質種族値は、以下の通りです。

 ヌメルゴン:CBS実質種族値290

                       CDS実質種族値350

 意外にも、 Dに圧倒的に優れているとされているヌメルゴンのD実質種族値は、最高峰の水準ではあるものの、そこまでずば抜けているわけでもありません。逆に、B実質種族値を見て見ると、ナットレイより若干低い程度と、案外絶望的に低いわけでも無さそうです。

 この計算をすることで、

 「ヌメルゴンは特殊相手には最高峰の数値で堅実に有利が取れつつ、物理相手にも最低限互角に殴り合えるポケモンである」

 という一見しただけではわかりにくい分析を、正確にすることができます。

 

<④技威力による補正>

 先ほど、「ガブリアスナットレイが同じ技威力で殴り合うと、ガブリアスが勝つ」と書きました。実際には、この二匹が使う技の威力は異なるので、その分を考慮に入れて計算すると、より正確です。この数値は、"技威力種族値"と呼ぶことにします。

 計算方法は以下です。

 1.基準技威力を150とし、そのポケモンが使う技の威力を150で割る(以下、この数値を"技威力倍率"と呼びます)。

 2.実質種族値を、参照しているステータスの個数で割り、その後+30する

 3. 2で出した値に、技威力倍率をかける

 4. 3で出した数値と、2で出した数値を比べ、その上昇分(下降分)を実質種族値に足す(引く)。

 実際にナットレイガブリアスに当てはめてみます。

 まず、技威力倍率を計算します。ナットレイガブリアスに撃つ技はジャイロボールなので、技威力はタイプ一致で225です。225/150=1.5なので、技威力倍率は1.5です。次に、ナットレイのABS実質種族値は299で、これはHABの3箇所を参照した数値なので、3で割ると、まあ大体100になります。これに30を足すと130です。これは、種族値100のポケモンに、無補正で努力値をMAXの半分ほど振った値と近似します。これに技威力倍率1.5をかけて195。上昇幅は65なので、これを299に足して364。これが、ナットレイの技威力ABS種族値です。

 次に、ガブリアスも計算します。ガブリアスの技は地震で、威力は150なので、技威力倍率は1.0です。技威力倍率が1.0の時は、以降の計算は全て不要になります。ガブリアスの技威力ABS種族値は、そのまま333です。

 ナットレイが逆転しました。ナットレイの実質種族値364に対して、ガブリアスの実質種族値は333。ここから縛られ種族値を計算しても307になるだけなので、ナットレイガブリアスと、少なくとも互角以上のステータスを持ったポケモンであると言えます。私はナットレイの数値が優秀であるという話には納得していましたが、まさかガブリアス以上に数値が高いとは思いませんでした。

 ところで、範囲技と反動技の扱いについて確認しておきます。

 範囲技は、0.75倍の火力が2〜3体に飛ぶということで、事実上1.5〜2.25倍の火力が出ます。なので、その通り威力を1.5倍〜2.25倍にして扱うのが、より正確であると思います。

 反動技に関してですが、これは、受けるダメージの分H実数値が低くなるということなので、その割合を計算して、その分低く見積もるのがいいと思います。与ダメの1/3の反動を受ける時、大体30〜70くらいで上下します。自分は計算が面倒なので、一律50低く見積もることにしています。能力下降技も、同じように扱っていいと思います。

 計算方法の詳細についてですが、また少し複雑なので省きます。簡単に言うと、「火力が高いポケモンと耐久が高いポケモンを公平に比較できるようにした」ということになります。

 以下に使う技の威力に対応した、技威力倍率一覧表を置いておきます。

 使う技の威力-技威力倍率

 225-1.5

 195-1.3

 180-1.2

 165-1.1

 150-1.0

 135-0.9

 120-0.8

 105-0.7

 90-0.6

 80-0.534(0.5で計算して、少し高く見積もるのが楽です)

 

<⑤特性による補正> 

 特性による補正の扱いは、少し判断が難しいです。なぜなら、数値に直接影響しない特性があるからです。

 例えば、親子愛やファーコートの補正を計算することは簡単です。技威力種族値と同じ計算をすればいいです。正確な手順としては、技威力種族値の計算で技威力倍率をかける際に、特性補正を一緒にかけると、正確な値が出せます。防御面の計算をする場合は、特性補正をかけた際に出た上昇分or下降分を半分にするのがいいです(この計算をしないと、特性の影響が不当に大きくなります)。

 しかし、例えば浮遊という、数値に直接影響しない特性はどうでしょうか?浮遊が強力な特性であることは明らかですが、数値化しようとすると、耐久力に無限の値をかけることになってしまいます。縛られ種族値の時のように、地面技を受ける頻度の傾向を表せる計算方法が欲しいところですが、それは単純なステータスによって決まるものではないので、そういう訳にもいきません。

 色々考えたのですが、数値に直接影響しない特性は、無視するのがいいと考えました。

 例えば、この考えに則って、メガガルーラクレセリアの実質種族値を比べてみます。

 捨て身タックルメガガルーラ:392

 サイコキネシスクレセリア:301

 メガガルーラクレセリアも、どちらも強力なポケモンであるはずが、数値に圧倒的な差が生じており、一見クレセリアに不利な方法を用いているように見えます。しかし、今回はあくまで「ステータスの高さ」に注目したポテンシャルを測っているため、こちらの方がより正確な数値になると判断しました。実際に、クレセリアメガガルーラサイコキネシスと捨て身タックルで殴り合わせてみると、与えるダメージの割合は、結構な差でメガガルーラに軍杯が上がります。

 ポケモンの総合的な強さは、「ステータスの高さ」だけではなく、「役割に合った性能をしているか」という要素も含まれてきます。浮遊などの特性は、そちらに作用する要素であるため、今回の、実質種族値を測る計算では、無視する方が良いと考えました。

 

<⑥実質種族値で色々なポケモンを比較してみた>

 それでは、いよいよ、以上の要素を含めた各ポケモンの実質種族値を比較してみようと思います。正直言うと、他にもまだ様々な細かい条件が結構あって、これだけでは誤差があったりするのですが、あまり計算に時間をかけすぎるのも嫌なので、今回は影響の大きい要素だけに注目して比較していきます。

 メガシンカポケモン種族値+100と強すぎるので、一般ポケモンと分けて考えることにします。

 また、方針によって色々な比較方法が考えられますが、今回は以下の基準で比較することにします。

 ①AS or CS技威力種族値を計算します。特性補正は含めますが、BD実質種族値は計算しないことにします。

 ②技威力種族値は、そのポケモンのメインウェポンのみを参照します。

 ③範囲技は威力1.5倍で計算します

 ④反動技と能力低下技は、一律50低く見積もります

 ⑤表記方法は、"ASかCS-実質種族値-使用技"という形で表記します

 では、以下より比較開始です。いやー、ワクワクしますねえ!

 

〜一般ポケモン編〜

ニンフィア :CS-498-ハイパーボイス

ギルガルド :CS-478(BDを盾で計算)-シャドーボール

      CS-289(BDを剣で計算)-シャドーボール

ランドロス :AS-502-地震

サンダー  :CS-377-10万ボルト

ファイアロー:AS-270-ブレイブバード

エアームド(俺の好きなポケモン):AS-329-ブレイブバード

バンギラス :AS-497(砂)-岩雪崩

ドリュウズ :AS-431-地震

クレセリア :CS-431-サイコキネシス

ヒードラン :CS-492-熱風

ヒヒダルマ :AS-371-ゴリラドライブ

ニョロトノ :CS-379(雨)-熱湯

キングドラ :CS-483(雨)-濁流

                      CS-402(非雨)-濁流

ルンパッパ :CS-458(雨)-濁流

                      CS-380(非雨)-濁流

ゴチルゼル :CS-361-サイコキネシス

テラキオン :AS-416(A+0)-岩雪崩

       AS-855(A+6)-岩雪崩

エルフーン :CS-292-ムーンフォース

マニューラ :AS-337-はたき落とす

ハリテヤマ :AS-359-インファイト

カポエラー :AS-353-インファイト

ズルズキン :AS-413-はたき落とす

モロバレル :CS-337-ヘドロ爆弾

トゲキッス :CS-442-マジカルシャイン

メタグロス :AS-407-アイアンヘッド

ガブリアス :AS-485-地震

ナットレイ :AS-482-ジャイロボール

ポリゴン2     :CS-425(輝石込み)-トライアタック

レジギガス :AS-413-恩返し

ケッキング :AS-478-恩返し

バクフーン :CS-497-噴火

エンテイ  :CS-517-噴火

 

 衝撃の新事実!エアームドファイアローより強かった!?

 

メガシンカポケモン編〜

メガガルーラ :AS-466-捨て身タックル

メガリザードンy: CS-552(晴れ)-熱風

メガカメックス: CS-589-潮吹き

メガクチート :AS-488-じゃれつく

メガバクーダ :CS-535-熱風

メガボーマンダ:CS-575-ハイパーボイス

        両刀-557-ハイパーボイス

メガサーナイト:CS-537-ハイパーボイス

メガバンギラス:AS-595(砂)-岩雪崩

メガガブリアス:AS-564-地震

メガラグラージ:AS-544-地震

 

 メガガルーラメガクチートが異様に低いように見えますが、メガシンカポケモンの中で彼らだけが単体攻撃主体なので、こんなもんですね。メガガルーラは捨て身タックルの反動分があるので、与ダメ被ダメだけみればそこまでぶっ飛んでいるわけではないようです。一応この数値について解説しておくと、この計算方法だと反動技のメリットである「相手を倒しやすい」という部分が数値に反映されないのですが、それですら466というのは、ヒヒダルマの実質種族値が371であることを考えると、圧倒的です。彼の真価は、他のメガシンカポケモンと違って火力が単体に集中するかつ、メガクチートと違ってSが100もあるという点にあるでしょう。これにより、上から相手を倒しやすいと言えます。上から相手を倒せば反撃をもらわないし、弱点を突かれる機会も少ないので、それのおかげで、体感の数値が高くなっているんだと思います。メガクチートの方が数値が高いのは、メガ前の威嚇も計算に入れているからです。

 とりあえず、与ダメ被ダメにまつわるステータスの高さに関しては大体このような感じみたいです。

 みなさんは、ここからどのような分析をしますか?色々なことが読み取れると思いますし、もしもそこから、新たな可能性を見出すことができたなら、とても嬉しいです。

 あとこれ、できるだけ計算が楽に済むように考えたのですが、それでも結構面倒です。実際に考察に使う時は、必要な計算と必要ない計算をしっかり考えないと、時間があっという間に溶けていくので、それだけ注意してください(笑)。

 

<更新履歴>

2023/5/27 誤字脱字修正